「歩き方カルチャー教室」はじまります!

象のフンを再利用で紙に変身?!

象のフンペーパーサムネイル

象のフンの紙?!
題名を見て『なんだこれ?!』と思った人も多いかと思います(笑)
象のフンから作った紙、どんな色をしていると思いますか?『なんだか、臭そう』、『汚い!』と思った人もいるでしょう。

今回私は、ウガンダに行った際に体験した『象のフンのペーパー』について紹介したいと思います。私も最初、「象のフンから作った紙」と聞いてあまりいいイメージを抱きませんでした。普通なら、象のフンは動物園や国立公園の中にあるもの。それを使って、何かを作る という発想がなかったのです。

今回、紹介する活動を行っているのはクイーンエリザベス国立公園の隣に位置している『チャンボラ(Kyambura)』という村です。 実際にウガンダで象のフンペーパーを作っている工房を見学させていただき、実際に紙作りを体験を行いました。この体験から象のフンペーパーについて皆さんに知ってもらいたいと思いこの記事を書きました。

体験はまず、なぜこの活動を始めたかについてのお話から始まりました。

実物の紙がこちら!

象のふんから作られた紙
ウガンダのコミュニティで作られている象のふんペーパー。上がローラーに通し滑らかになているもの。

そもそも、象のフンペーパーってなんだ?

その名の通り、象のフンから作られた紙のことです!この写真が象のフンです。

象のフン
実際に紙作りに使う象のフン。これ1つで5ドル。

見たこともある人も多いかもしれません。とても繊維質のフンで、とても軽いんです。匂いもほとんどしません。色々調べてみると、象のフンペーパーはウガンダのみでなくタイや日本でも作られているそうです。

また、紙や燃料、コーヒー等様々な再利用の方法があるそうです。 最強のリサイクルですね!

象について

動物園と言ったら、象!

ぞんな象は1日に約200キロから250キロほどの木の枝、草、木の実などを食べ、水を約100ℓ飲むと言われています。そして約50~100キロのフンをするといわれています。

約50キロのフンからはA2サイズ紙が100枚以上作れるそうです。

現在、象は毎年2万頭が殺されています。

その理由は、象牙。象牙は1本100万円以上の価値があるとも言われています。そのため、密猟が後を絶たないのです。象牙の国際間での取引は1990年にワシントン条約において禁止されています。

国際間取引は禁止されていますが、闇取引がいまだに行われいる現状があります。

象の牙を取り、海外に輸出する。

日本にもかつて毎年300トン以上の象牙が輸入されていたそうです。 今では、規制が掛かり輸入はされていませんが、アフリカでは未だに象の牙は高値で取引されています。

なぜ、紙を作り始めたの?

話が脱線してしまったので、フンペーパーに話を戻します。

「象のフンを使って、どうして紙を作るの?普通の紙で十分じゃん」、「わざわざフンで紙を作るなんて。」という声も聞こえてきますが、この村で象のフンペーパーを作り始めたのはちゃんとした理由があるんです。

その背景の1つには、村に象が来て畑や穀物を荒らされてしまうことにあります。

自分達が大切に育てた作物を食べられたり、踏みつぶされたりしたらもちろん村の人達の生活は苦しくなっていきますよね?そんな時、あなたなら象に対して何をしますか?

我慢をして見守る? 象が村に入らないように、攻撃する? 象が入れないように柵を作る?…

色々なアイデアが出ると思います。

同じように村の住民たちも対策を考えました。最初にこの村の人達が考えたのは、「象を村に近づかせないようにする」ことでした。そのために、象が入ってくる国立公園と村の間に蜂を飼い育てました。そして、その蜂が作ったはちみつを売り収入としました。

この対策が上手くいったかというと…あまりうまくいかなかったそうです。

そこで村人は、また新しい対策を考えました。

その結果、『象と共存していくことが大切なのではないか』ということに辿り着きました。村を荒らす象。彼らが帰った後に、残るのは大量の”フン”。このフンを使って何かできないかと考えたことがこの活動の始まりです。

最初は、紙ではなく象のフンを使って炭の燃料を作ったそうです。なぜ、炭を作ったかというと、薪を使うよりも火の持ちがいいから!また他の利点として、村人が国立公園内に入って薪を取らなくなり、公園内の保全にもつながるためです。

このプロジェクトの次に始まったのが紙を作ること。このプロジェクトは、多くの方々が協力して成り立っています。象のフンを集めて販売をする人がいます。象のフンはバケツ1杯500円ほどで買い取ります。その買い取った、フンを加工し、紙にします。

活動グループ

この活動を行っているのは、この村の貧しいグループでママさんたちが活動をしています。

コミュニティのママさん
コミュニティのママさんたち

このグループのママさんたちは、夫を国立公園内で亡くしています。

紙を作る活動を行い得た利益は、同じように国立公園で家族を亡くした方々に寄付をしています。また、コミュニティにも還元をします。もちろん、自分達にも利益は入ります。グループで得た利益を自分達だけのものにするのではなく、コミュニティに還元する。自分達と同じような境遇にある人達にも還元をする。

『コミュニティ全体で一人ひとりを支える。一人ひとりがコミュニティ全体を支える。』

そんな、考え方・生き方、素敵だと思いませんか?

ペーパーの作り方

お待たせしました。象のフンペーパーの作り方を説明します!

①象のフンをまずは煮る。その後、きれいに洗って綺麗にする。

象のフンを洗い終えた後

②象のフンと紙と水を機械に入れる。
 紙を入れる理由として、フンだけでは色が黒くなりすぎてしまうためです

③機械の電源を入れ、材料を混ぜ合わせる。

混ぜ終える

④混ざったものを機械から取り出す。

⑤取り出したものを紙をすく場所に持って行く。

紙をすく場所に移動

⑥紙を型紙ですくう。その後乾燥させて紙が完成する。乾燥される時間はおよそ2時間ほど。

⑦乾燥し終えた紙はローラーに通す。そうすることで、表面が平らなになり書きやすくなるんです。

この6番の工程が意外に難しい。
一か所に材料が固まってしまい、何度もやり直しをさせてもらいました(笑)
この原因として、欲張って材料を多く取ろうとしたからでした。
力を抜いて、すくったら均一になり上手く行きました。

この紙を使って、他にも様々なものを作っているんです。

それがこちら、ポストカード

象のフンから作られたポストカード

その他にもピアスにブレスレット、写真入れに紙袋!

見ていて飽きない商品がたくさんあります。行った際には、ぜひ見てくださいね。

私のお勧めは、ブレスレット! 日本に帰国してからも愛用しています。

最後に

象のフンペーパーを作る活動を始めた背景から分かる、 地域で1人を支える。一人ひとりが地域を支える。そんな支え合いの仕組みや、考え方を持つチャンボラ村。

対して、隣に住んでいる人が誰だかわからない、育児での孤立や孤独死が社会問題となっている日本。

お互いに学び合える部分があるのではないでしょうか。 また、一見いらないのもだと思われていても工夫次第で新しい何かを生み出すことができることを知り、多面的な角度から物事を捉え、考えることが、これから先、必要になると強く思います。

象のフンペーパー工場

作り方の動画はこちら!

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宮重真奈
人生、楽しく!
1997年8月26日生まれ。 小学4年から大学2年までバトントワリングに熱中する。 大学では幼児教育・初等教育を専攻。2020年3月に大学を卒業する。 大学1年の時にケニアと出会い、大学時代毎年ケニアへ。 学生時代、ご縁があり、ケニア・ウガンダ・ルワンダ・タイ・シンガポールへ。 中学生のころは『海外に行かないから、英語は勉強しない!』と言っていたほど、海外とは縁のない生活を送る。『人生何が起こるか分からない』という言葉を実感中。 JICA海外協力隊、2020年3次隊、小学校教育でベナン共和国へ派遣予定⇒延期。 コロナ終息後、カメラをもって日本一周を計画中。