「歩き方カルチャー教室」はじまります!

ケニア・ウガンダ旅行記2

パラロッジの庭で歌合戦

ウガンダ

定刻通りバスは隣国のウガンダの首都カンパラのホテルを出発した。これから国立公園観光に行くのだ。

ところがバスはあっちに行ったりこっちに行ったりなかなか町を出ようとしない。つまり国立公園に行くまでのガソリンがないため、あちこちのガソリンスタンドを回って給油していたのだ。

まちなかで出会った少女たち、どこかはにかんでいる
まちなかで出会った少女たち、どこかはにかんでいる

やっとランチにありつけたころには午後3時をとっくに回っていた。途中ふとバスの外を見ると、

「え!? え!? え!?」

道端で警官が住民をこん棒で殴りつけているではないか。

「そうか、この国は今、元ボクサーのアミン大統領が政権をとっている。」

そのせいかどうかは知らないが、国中がやけに緊張感に包まれている。

特にウガンダはアフリカの中でも内陸にあたるため、物資が足りなくなるらしい。そのため観光バスですらガソリンがないのだ。

国立公園の入り口で記念写真(当時)
国立公園の入り口で記念写真(当時のカバレがフォールズ国立公園)
ナイル河を渡るフェリーを待っていると同乗するuganda人の少女たちが
ナイル河を渡るフェリーを待っていると、同乗するuganda人の少女

そうこうしながらもやっとの思いでバスはカバレがホールズ(現在名マチソンフォールズ)国立公園のパラロッジに着いた。

こんな政情不安の中よくたどり着いたという感じだ。

かなり遅い時間の夕食となったが、こんな時に無事着いただけましだ。

そう思って食事をとっていると、隣の席で日本人のおじさんたちの大きな声が聞こえてきた。

このおじさんたちバスの中でも飲んで騒いでいたようだが、ホテルでも傍若無人だ。

そしてさっきから現地のウエイトレスを呼びつけて怒鳴りつけている。

どうやらビールが冷えていないと文句を言っているようだ。

こんな時に無事にホテルに着けて夕食にありつけただけでもありがたいのに、なんて日本人だ。と思っていたら、「ビールを冷やして飲むのは日本人だけらしいよ。」ととなりの友人がささやく。

ならなおさらみっともないおじさんたちじゃないか。同じ日本人として恥ずかしい。

ナイル河沿いに建つパラロッジ
ナイル河沿いに建つパラロッジ

と思っていたら、中庭の方に別の国の客たちが集まっている。

そちらのほうに足を向けると、ドイツ人やイタリア人の人たちだ。みんな楽しそうにお喋りしながら、他のグループとも打ち解けていく。そしてはじめドイツの人たち全員であの有名なドイツの歌曲「ローレライ」を歌い始めた。

次はイタリアの番だ。イタリア人は独唱で一番有名なあのイタリアの曲「オーソレミオ」を歌い始めた。

さて、次は日本の番だ。

「日本で誰もが知っている有名な曲って何だ?」みんなで頭を寄せあって考えたが何も浮かばない。こんな時に何で日本にはいい曲がないんだよ。

と思ったが結局、みんなで童謡を歌ったのを覚えている。

そしてドイツ、イタリア、日本人は夜遅くまで楽しく語り合った。

パラロッジの庭で歌合戦後
パラロッジの庭で歌合戦後

翌日の観光ツアーはカバレガホールズ(現在名マチソンフォールズ)へ向けワニとカバのいっぱいいるナイル河をボートサファリ。

カバが至る所にいた、浮かんでいたり岸辺で寝そべっていたり
カバが至るところにいた、浮かんでいたり岸辺で寝そべっていたり

河をボートでのぼり船を降りて岩の上に登ると大きな滝壺にたどり着いた。

その滝壺の水量たるや、一度にこんなに水を出したら地球が枯れちゃうんじゃないかと思うほど。

どどどどどどどーっ!

とすごい音をたてて流れていた。

滝上にも行ける。あの広い川幅のナイル河がたった5mぐらいの川幅となって落ちている。滝上にも飛沫が漂っている
滝上にも行ける。あの広い川幅のナイル河がたった5mぐらいの川幅となって落ちている。滝上にも飛沫が漂っている

轟音とともに水しぶきを上げ流れ落ちる滝
轟音とともに水しぶきを上げ流れ落ちる滝

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ABOUT US

きむらゆういち
絵本・童話作家
本名:木村 裕一

1948年 東京都生まれ。多摩美術大学卒業。絵本・童話作家。

造形教育の指導、テレビ幼児番組のアイディアブレーンなどを経て、絵本・童話作家に。戯曲やコミック原作・小説など広く活躍中。
ゆうゆう絵本講座主催、純心女子大学客員教授。

著作は2020年7月現在、国内にて670作品、海外では310作品を超え、数々のロングセラーが国内外の子どもたちに読み継がれている。

代表作として『あらしのよるに』シリーズ(講談社)、『あかちゃんのあそびえほん』シリーズ(偕成社)がある。他、『風切る翼』『よーするに医学えほん』シリーズ(講談社)、『オオカミグーのはずかしいひみつ』(童心社)、『どうするどうするあなのなか』(福音館書店)、『たいせつなものはみんな子どもたちが教えてくれた』(主婦の友社)などがある。

主な受賞として『あらしのよるに』で講談社出版文化賞絵本賞、産経児童出版文化賞JR賞受賞。『オオカミのおうさま』(偕成社)が第15回 日本絵本賞受賞。